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2025.07.08
会う人会う人に、「大丈夫?疲れてる?」と言われる…。(ちゃんと寝てるんだけどな…寝てない日もあるけど…)
そんなふうに言われると、疲れてなくてもなんだか疲れてきますよね。
でも改めて鏡を良く見て気づいたのは、目の下にある“ぷっくり”としたふくらみ。
「これがクマか…」「たるみかな…?」「むくみかも…?」
そんなふうに思いながら目の下をマッサージした方も多いのではないでしょうか。
あるいはホットタオルで目元を温めたり、アイマスクを使ってみたり…
でも実は—
そのクマ、単なる疲れや血行不良ではなく“目の下の構造”が関わっている可能性があります。
目の下のふくらみの中で最も中心的な原因が、「眼窩脂肪(がんかしぼう)」の突出です。
これは、眼球のまわりに存在するクッションのような脂肪で、もともと誰にでもある組織です。
若い頃は周囲の支持組織(靱帯や隔膜)がしっかりしており、この脂肪は眼窩(眼球が入っている骨のくぼみ)にしっかり収まっています。
しかし加齢とともに、脂肪を支える眼窩隔膜という膜がゆるみ、前方へと押し出されてくるようになります。
その結果、皮膚表面から見ると「膨らんでいる」「袋がある」といった状態に見えるのです。
この脂肪の膨らみは、それ自体が原因でクマのような影をつくることもありますが、
より目立たせる要因のひとつが、その下にできる「凹み」です。
つまり、「ふくらみ×凹み」による高低差=影のクマが目立つのです。
治療は、「ふくらみを減らす」のか「凹みを埋める」のか、またはその両方を行うのかによって変わります。
眼窩脂肪を取り除くことで、前方への突出を減らす手術です。
皮膚のたるみが軽度で、脂肪の突出が目立つ場合は単独でも効果的です。反面、脂肪を取りすぎるともとに戻せない可能性があるため、注意が必要です。
突出している脂肪を切除するのではなく、凹みに移動させて全体をならすことで、面を平らにする手術です。
脂肪の量を減らさないため、ナチュラルに目の下の立体感を整えられる方法として人気があります。
表裏はその名の通り、まぶたの表(皮膚)を切るか、裏(結膜)を切るかの違いです。皮膚のたるみがある場合は表を選択することが多く、傷を目立たせたくない方は裏を選択します。
凹みが目立つタイプの場合、注入術によってボリュームを補う方法も有効です。
脱脂後の仕上げとして行うケースもあります。
目の下の構造やたるみの程度、脂肪のボリューム、皮膚の厚さなどによって適した治療は異なります。
また、左右差や顔全体とのバランスも大切なポイントです。
カウンセリングでは、状態を診ながら“ふくらみ“と“影“のどちらが強いかを見極め、その人にとってベストな組み合わせを提案していきます。
「なんだか疲れて見える」と言われるたび、内心ちょっと傷つく。
そんな目元の悩みも、構造的な理由がわかると少し前向きに捉えられるかもしれません。
目の下のふくらみは“自分のせい”ではありません。
構造に応じた治療法があることを知っていただけたら、それだけでも十分な一歩だと思います。
執筆者
医師野尻 岳
日本形成外科学会認定専門医
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